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田村泰次郎自選集 女体男体

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『田村泰次郎自選集 女体男体』田村泰次郎(報文社・昭和23年・初版)

昭和5年の「挑戦」からタイトルの「女体男体」(昭和22年)まで12作品が収められている。
その他、十返肇による『田村泰次郎・人と作品--「肉体文学」の生きてきた道』を収録。
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肉体の悪魔



『肉体の悪魔』田村泰次郎(実業之日本社・昭和22年4月・初版)

装幀は青山二郎。

田村が復員後最初に書いた作品で、母親が間借りしていた六畳の部屋や、兄の工場の片隅でコツコツ書いたそうである。これも実在した女性をモデルとして書いたとのことである。詳しくは『女拓』(中央公論社)のなかの「破壊された女」に書かれている。

表題の『肉体の悪魔』他、『故国へ』、『沖縄に死す』など計5作品を収録。


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家族のために芸者の道に入っていった菊丸さん。

「『親のために売春をする』という感覚は理解しにくく、そんな親たちがいたこと、それを孝行だと心底考えられていた娘がいたことが理解できないから、貧しさにつけこんだ周旋人や楼主が、騙すように娘を身売りさせたのだと思えてしまう人が出てくる。」
http://www.targma.jp/vivanonlife/2016/02/post10722/

その典型的な例がこちら 

「①1925年に夕張に生まれた山内馨子(菊丸)さんは父の仕事の失敗による貧困のなか、10歳で東京の芸妓置屋に300円の前借金で売られました。借金は増え続け、1942年、「慰安婦」になれば軍が前借金の肩代わりをしてくれると聞き、4000円の借金返済目的と「死ねば靖国神社に入れてもらえる」との思いの中「慰安婦」に応募、「トラック島」で将校専用の「慰安婦」にさせられました(以下略)」
http://fightforjustice.info/?page_id=2407


菊丸さんは自分の意思で芸者になっていった。騙されてその道に入っていったわけではないし、親が勝手に売ったわけでもない。ただ単に「売られました。」と書いてあるけど、この書き方だと親に売られていったという読み方もできてしまう。「将校専用の『慰安婦』にさせられました」と書いてあるけど、させられたわけではない。

少女だった菊丸さんの意思はこうだった。

「あたしは長女だから、小さい弟や妹を見てるとなんとかしなきゃという気になったのね。『あたいは芸者になる』と言ったの。おっかさんは駄目だと言ったけど、ほかにどういう方法があるの。とうとう『なる』って頑張っちゃった。それで、三宅さんという人の紹介で、東京の大塚に仕込っ子として行ったわけ。三百円の前借で、十年契約だったかしら」(『証言記録 従軍慰安婦・看護婦』広田和子、新人物文庫、p83)

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肉体の門



『肉体の門』田村泰次郎(風雪社・昭和22年5月・初版)

装幀は伊原宇三郎。
この『肉体の門』はもう一種類ある。同年の10月に発行されたもので、内容までは未確認だが、装幀と価格が違う。

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春婦伝



『春婦伝』田村泰次郎(銀座出版社・昭和22年5月・初版)

表題の「春婦伝」を含め計8作品が収録されている。
装幀は三岸節子。

『わが文壇青春期』によると、原 弘による装幀もあるらしい。


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ショウセツ、ショウセツッテ、バカニスルナ!

「朝鮮や中国の女たちの、兵隊に対する話し言葉は、乱暴で、知らない者が聞いたら、無礼な感じさえ受けるかも知れないが、兵隊たちにとっては、その乱暴な言葉づかいに、身内がぞくぞくするような親近感を覚えるのである。」(『女拓』田村泰次郎、中央公論社、1964、p15)

これは田村泰次郎が自分の女性遍歴を綴った『女拓』のなかの『春婦伝』の春美のモデルとなった「アリランの女」からの一節であるが、『春婦伝』の中で「乱暴な言葉づかい」で討伐から帰ってきた兵隊を迎えるシーンで「身内がぞくぞくするような親近感」を感じさせる描写がある。


「(略)やがて、尖兵がはいってくる。そのなかには、彼女たちの知った顔の兵隊を見つけると、『おい、オレのスーちゃん、元気か』とか『吉田は生きとるか』とか、『青木は達者か、死んどらんだろうな』と口々に騒ぎたてる。
(中略)
彼女たちの叫びに、『ちえっ、お前の彼氏は死んだよ』とか『死んだ、死んだ、女に持てる奴はみんな死んだ』などと、どなりかえしながら、目の前をすぎていく。どの顔も疲れてはいるが、生きてきた歓喜にかがやいているようだ。彼女たちは、そんな兵隊の冗談にほっと安心しながら、それでも本隊の到着までは一抹の不安からのがれられない。
 本隊が着いて、男の顔が見えると、彼女たちは『おう』と、唸るような叫びをあげて、『青木、今晩こいよ、可愛がったるぞ』とか『吉田、あとから、飲みにこい』とか声をかける。『俺もいくぞ、酒用意しとけ』などと、そばの兵隊がひやかすと、『馬鹿、助平』とやりかえす。兵隊たちはどっと笑う。彼女たちは本気になって怒っている、兵隊たちは、けれどそんな冗談のやりとりで、討伐の苦労がすうっと消えるのを感じるのである。」(『春婦伝』田村泰次郎~Kindle版『肉体の門』筑摩eブックス)、(『春婦伝』田村泰次郎、銀座出版社・昭和22年、p41ー42)

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田村泰次郎著『春婦伝』の「春美」のモデルとなった朝鮮人慰安婦

「ところでその『春婦伝』であるが、よく実際にあった話かと問われる。私はいつもあいまいな返辞でこれに応える。ストーリーそのものは私の創作であるが、十分、ありそうな、また、あり得る話である。だが、作中の女主人公である朝鮮の女、春美(日本名)は、今日まで、そのことを私はそとにあきらかにしないが、ひそかに私自身頭の中には、はっきりとしたモデルがある。富士子という名の女が、それだ。『春婦伝』の春美について、「本名は彼女たちの心のなかだけでしか知られていない。その自分の本名さえ、どうかすると忘れ果てているようなときがあった」と書いたが、富士子もそうであった。が、自分の本名を忘れる人間はいない。彼女たちにしても決して忘れるわけはない。その本名は彼女たちの一番奥深い、心の底辺に沈めていたのにちがいない。」(『女拓』田村泰次郎、中央公論社、1964、p10-11、「アリランの女」より)

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【資料】『春婦伝』の序文

序文
画像は『春婦伝』田村泰次郎(銀座出版社・昭和22年5月・初版)の「序」より

『春婦伝』の序文

「 戦争の間、大陸奥地に配置せられた私たち下級兵たちといっしょに、日本軍の将校や、その情婦たちである後方の日本の娼婦たちから軽蔑されながら、銃火の間に生き、その青春と肉体を亡ぼし去った(朝鮮人)娘子軍は、どれだけ多数にのぼるだろう。日本の女たちは前線にも出てこられないくせに、将校とぐるになって、私たち下級兵を軽蔑した。私は彼女たち(朝鮮人)娘子軍への泣きたいような慕情と、日本の女たちへの復讐的な気持で、これを書いた。」(『女拓』田村泰次郎、中央公論社、1964、p10、「アリランの女」より)

※文中の( )はGHQの検閲により削除されたもの。


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